- 上場企業に就職するってすごいの?
- 上場企業に就職するメリットって?
- 上場企業に就職したら人生安泰なの?
このような疑問にお答えします。
私の経歴をご紹介すると、新卒で東証一部上場企業(現在はプライム企業)に就職。非上場企業への転職も経験しています。両方を経験したからこそ、上場企業に勤めるメリット・デメリットを理解しているつもりです。
この記事では、そんな私が「上場企業に就職するってすごいの?」というあなたの疑問にストレートに回答します。

結論からお伝えします
上場企業といってもピンキリです。
たしかに上場企業に就職するメリットは多いですが、人生安泰とは言い切れないのも事実なのです。
なぜ私がこのように考えるのか。以下ではその理由を余すところなく説明しています。
是非最後までご覧ください。


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- ミッションは「会社員が人生の主導権を取り戻すキッカケに」
- 発信軸は❶マインド❷キャリア❸資産構築
- 年収1,000万円のアラサー会社員
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- 早期の経済的自立(FI)を目指す
上場企業って何?



そもそも上場企業の定義が分からない
という人もいると思うので、簡単におさらいします。
上場とは
まず、上場とは以下のことを差します。
会社の株式が証券取引所で売買されるようになること



簡単に図示するとこんな感じ


自社の株式を投資家に購入してもらうことで、企業はお金を調達。そのお金を使い事業拡大を目指します。
銀行からの借入だけで賄うこともできますが、株式を上場することで資金調達の幅が広がるのです。



だから多くの会社が上場を目指すんだね
また投資家にとっても以下のことが期待できます。
- 配当金を受け取れる(ただし投資先企業による)
- 株価が上がれば売却時に利益が得られる(ただし下がれば損失)



企業と投資家両方にメリットがあるんだね
なお上場するには、一定の審査をクリアする必要があります。そのため、どんな会社でも上場できるわけではありません。
上場企業とは
上場企業とは文字どおり、上場している企業を指します。



一定の審査をクリアした企業ってことだね
上場の意味を理解せずに「上場企業」を理解することはできません。上場の定義と一緒におさえましょう。
上場企業の区分
上場企業といっても、いくつか区分があるのをご存じですか?
株式をどの証券取引所に上場するかで、区分が変わってくるのです。



日本の証券取引所は、大きく以下の4つ
- 東京証券取引所(東証)
- 名古屋証券取引所(名証)
- 札幌証券取引所(札証)
- 福岡証券取引所(福証)
中でも東京証券取引所は代表的な取引所。皆さんがよく知る大企業の多くは、東証に上場しています。


東京証券取引所は、さらに3つの市場に区分されます。
- プライム市場
- スタンダード市場
- グロース市場
詳細はこちらを見てもらえればと思いますが、企業の時価総額、利益水準、株主数などに応じて分類される仕組みです。



大企業になればなるほど、プライム市場に区分される傾向があるね
もともとは東証一部・東証二部・JASDAQという区分でしたが、2022年4月に再編され今の区分になりました。
上場企業といってもピンキリ
上場企業の定義をおさらいしたところで、本題に入ります。
結論からお伝えすると「上場企業へ就職する=すごい」とは言い切れません。なぜなら、上場企業といってもピンキリだからです。
先ほど説明したように、上場する証券取引所によって会社の規模はさまざま。また同じ市場区分であっても、会社の収益性や給与水準、従業員の質などは多岐にわたります。
そのことを示すべく、以下ではいくつかのデータをご紹介します。
平均年収が高い上場企業トップ10
就職をする上で無視できない年収。年収がすべてではないものの、高い方がいいのは事実です。
そこでまずは、平均年収が高い上場企業のランキングを見てみましょう。
- М&Aキャピタルパートナーズ(2,688万円・サービス業)
- キーエンス(2,182万円・製造業)
- ヒューリック(1,803万円・不動産業)
- 伊藤忠商事(1,579万円・卸売業)
- 三菱商事(1,558万円・卸売業)
- 三井物産(1,549万円・卸売業)
- 丸紅(1,469万円・卸売業)
- TBSHD(1,449万円・通信業)
- 野村HD(1,440万円・金融業)
- ストライク(1,432万円・サービス業)
出典:ダイヤモンド「年収が高い会社ランキング2022」



総合商社やМ&A仲介の業界が目立つね
平均年収が低い上場企業ワースト10
今度は反対に、平均年収が低い上場企業のランキングを見てみましょう。
- トスネット(267万円・サービス業)
- 東天紅(296万円・小売業)
- 倉元製作所(299万円・製造業)
- アイフリークモバイル(303万円・通信業)
- カルラ(305万円・小売業)
- 京都ホテル(307万円・サービス業)
- 井筒屋(309万円・小売業)
- かんなん丸(313万円・小売業)
- コンヴァノ(316万円・サービス業)
- バロックジャパンリミテッド(319万円・小売業)
出典:ダイヤモンド「年収が低い会社ランキング2022」



小売業とサービス業が多いね



М&Aキャピタルパートナーズは2,688万円。トスネットの267万円とは10倍の開きがあるね
年収だけで企業の良し悪しを決められないのは百も承知です。業種によって収益性が違うことも知っています。
それでも上記のデータは、上場企業といってもピンキリだということを教えてくれます。
非上場企業にも優良企業は多い
- 上場企業だから優良企業
- 非上場企業は上場企業より劣っている
こんなイメージを持っていませんか?
この考え方、実は間違っています。
冒頭でご説明したとおり、上場をするかどうかは会社の自由。証券取引所へ申請しなければ、当然上場には至りません。



ってことは、上場しないことを選ぶ会社もあるの?



その通り
上場には数々のメリットがある反面、デメリットもあります。例えば以下。
- 投資家に対し説明責任がある
- 投資家向けの資料を作成する必要がある
- 買収される可能性がある
こうしたデメリットがあるからか、日本を代表する企業の中にも上場していない企業(非上場企業)は多くあります。例えば、以下のような企業は有名ですね。
- サントリーホールディングス
- 竹中工務店
- YKK
- 小学館
- 集英社
- 朝日新聞社
- 東京メトロ etc..



プライム市場に上場しててもおかしくない企業がたくさん
このことからも、上場企業への就職=すごいとは言い切れないことが分かります。
上場企業に就職するメリット
上場企業に就職するメリットはないのか?というと、答えはNOです。
そこで以下では、上場企業に就職する代表的なメリット3つをご紹介します。
- 社会的信用が高まる
- 教育体制が充実していることが多い
- 福利厚生が充実していることが多い



上場企業の中でも、東証プライム企業などの大企業を前提に話を進めますね
社会的信用が高まる
真っ先に思い浮かぶメリットは、社会的信用が高まることです。
上場企業、中でも東証プライム市場に区分される企業は、国内でもトップクラスの規模。それだけ世間でも知名度が高いのが特徴です。
そのため、こうした有名企業に勤めているだけで、社会的信用が大きく高まります。信用の高さを感じる場面として、例えば以下が挙げられます。
- クレジットカードの発行審査
- 住宅ローンの審査
- 転職活動時の評価
- 親戚の集まりでの反応
- 合コンでの反応 etc..
中にはバカらしいものも混ざっていますが、転職活動での評価はバカになりません。上場企業で働いていただけで内定をもらえるとは言いませんが、印象は間違いなく良いでしょう。
私は転職時にいくつかの会社を受けましたが、書類選考で不合格になった会社はありません。面接を受けた会社も、1社を除き全て合格という結果に。
上場企業勤務という経歴がどれだけ効いたかは不明ですが、信用力の高さを痛感した出来事でした。
教育体制が充実していることが多い
教育体制が充実していることが多いのも、上場企業の特徴です。
ここでいう教育体制は、研修制度やOJT(オンザ・ジョブ・トレーニング)制度などを指します。
はじめての仕事で何かと不安になりがちな新入社員時代。入社早々ほったらかしにされるのは、あまり嬉しくないですよね。
一定の教育体制が整備された上場企業なら、その点は安心です。



ただし、教育体制が充実していれば成長するとは限りません
福利厚生が充実していることが多い
規模が大きな上場企業は、福利厚生が充実していることが多いです。
ざっと思いつく限りでも以下のようなものが挙げられます。
- 住宅手当
- 退職金制度
- 確定拠出年金制度
- 特別休暇
- 保養所や研修施設
- 社員食堂
- 人間ドックの費用補助
- 育児休暇制度
- 祝い金制度 etc..
給料とは別にこうした制度があると、気持ち的には嬉しいもの。誰かについ自慢したくなるかもしれませんね。



ただし、最近は上場企業でも福利厚生が削減傾向にあるので注意
上場企業に就職するデメリット
上場企業への就職には、実はデメリットもあります。
私が考える代表的なデメリットは以下の3つ。順に見ていきましょう。
- 買収されるリスクが高い
- 投資家向けの書類作成が面倒
- 裁量権が小さい
買収されるリスクが高い
上場企業は買収されるリスクが常につきまといます。



なんで?



それは、株式を証券取引所でオープンにしてるからです
さきほどお示しした図を改めて見てみましょう。


株式を上場すると、投資家がその会社の株式を売買できるようになります。もし1人の投資家が大金を投じ会社の株式を(50%超)買い占めたら、その株主が会社を支配することになるのです。
そして投資家は個人に限りません。資金力のある海外企業やファンドに目をつけられれば、小さな会社は簡単に飲み込まれます。



最悪の場合、従業員の大量リストラなんてことも…
就職する前から自分の会社が買収されるなんて想像したくないですよね。でもこれは普通に起こることなんです。
上場企業は買収リスクが高い。このことは頭に入れておくべきです。



そういえば、22年はイーロンマスク氏によるTwitter買収が話題になったね
投資家向けの書類作成が面倒
買収リスクに比べると小さな話ですが、投資家向け書類を作るのも面倒です。
上場するということは、会社を投資家の支配下におくことに他なりません。そのため、過去の経営成績や将来の経営方針などを投資家に対し説明する必要があります。
間違った内容を発表してしまうと大変なので、必然的に厳しいチェック体制が敷かれることに。



過剰なチェック体制は、風通しの悪さにもつながりそうだね
社会的信用が高まる反面、そのためにかける労力はバカになりません。
裁量権が小さい
これはよく言われますが、上場企業は裁量権が小さいことが多いです。
大企業であるほど、1人当たりの裁量権は小さくなりがち。非上場のベンチャー企業などと比べると、業務分担が細かく、また社内の承認プロセスが複雑なことが多いです。



大きな案件を扱うことが多いぶん、1人にリスクを背負わせづらいんだね
細かくマネジメントされず好き放題仕事がしたい人には、規模の大きな上場企業は息苦しいでしょう。
上場企業への就職に対する世間の声
私の意見だけだと偏りがあるかもしれないので、世間の声も覗いてみましょう。
ポジティブな声
まずはポジティブな声から。



転職活動やカード審査の話など、リアルな声がありました
ネガティブな声
続いてネガティブな声。



上場企業=素晴らしい、という偏った思想を問題視する声が目立つね
上場企業はすごい。社員がすごいのではない
ここまで書き進める中で、明らかになったことがあります。以下のことです。
上場企業がすごいのであり、そこで働く社員がすごいわけではない
社会的信用が高まったり、福利厚生が充実していたり。これらはどれも社員が会社から受ける恩恵ですよね。
こうした恩恵を受けられるのは、先人たちが会社を成長させたからにほかなりません。
- パナソニック社員がすごいのではなく、松下幸之助がすごい
- ソフトバンク社員がすごいのではなく、孫正義がすごい
もしあなたが上場企業へ就職するのだとしたら、このことは頭の片隅に入れておいてください。
上場企業への就職=安泰ではない
さいごにまとめです。
上場企業就職の代表的なメリット・デメリットは以下のとおり。
- 社会的信用が高まる
- 教育体制が充実していることが多い
- 福利厚生が充実していることが多い
- 買収されるリスクが高い
- 投資家向けの書類作成が面倒
- 裁量権が小さい
ちなみにこれは私の意見ですが、新卒で上場企業に就職するメリットはデメリットを上回ります。転職で年収アップを実現できたのも、上場企業での経験あってのものと感じています。
そのため、就活生の方に「有名な上場企業と非上場のベンチャー企業、どっちがオススメですか?」と聞かれたら、間違いなく「上場企業」と答えるでしょう。
ですがこれだけは忘れないで下さい。
上場企業へ就職すれば人生安泰、なんてことはない
どれだけ優れた会社に入社できたとしても、入社後の自己研鑽は必須。
- 万一会社が業績不振に陥ったら
- 外資系企業に買収されてリストラされたら
考えすぎかもしれませんが、今の日本経済を見る限り、こうした懸念が空想に終わるとは思えません。
- いつでも転職できるだけの実力をつけること
- 副業で給料以外の収入源を作ること
- 投資で経済的自立を目指すこと
上記のような心がけを忘れず、不透明な現代社会を生き抜いていきましょう。
本サイトがその一助になれば、これ以上の喜びはありません。
最後まで読んで下さりありがとうございました。